転職の落とし穴?~広告に惑わされないために~
転職をしようと考えた時、まずどんなことをしますか?
多くの人は、転職サイトを覗いたり、転職エージェントの利用を考えますよね。けれど、それらの方法を駆使してやっとのことで見つけた転職先なのに、いざ入社してみたら思っていた環境とは全然違っていて、またすぐに転職を考えなければならなくなってしまった、という人も実はかなり多いそうです。
なぜそんな事態が起きてしまうのかと言えば、やはり転職サイトなどの求人広告には、掲載する企業側の、都合の良い話しか書いていないということに尽きます。求人広告には、実に色々なことが書かれています。
会社概要などの基本情報はもちろんですが、仕事内容の紹介や求める人材、そして求職者の方へのメッセージまで読んでいくと、その会社がどんな人材を欲しているかを知ることができるでしょう。そういった部分を読むことも、もちろん大切です。そんな人材を必要としているか理解しておかなければ、自分のどんなところを会社側にアピールすべきかということも見えてはこないでしょう。しかし、あまりそういったところばかりに目を奪われていると、大事な部分を見落としてしまう可能性が高いのです。
その大事な部分とは、やはり雇用条件などが載っている、募集要項の部分です。そのくらいちゃんと見ている、という人の方が多いとは思いますが、大切なのは、その掲載内容の“本質”を見抜くことです。
多くの求人広告は独自の掲載ルールを設けていて、明らかな法令違反に当たるような勤務条件を強いるような企業の求人は掲載しません。とはいえ、世にはびこるブラック企業は、法的にグレーな部分を都合よく利用し、労働者に対し劣悪な環境での就業を強いています。
それが顕著に表れているものとして挙げられるのは、やはりみなし残業や休日休暇の表記方法ではないでしょうか。
前者のみなし残業については、基本給の中に一定時間分の残業代をあらかじめ含めておき、たとえ毎日定時で、残業なく退勤したとしても、みなし残業代は控除せず支払うというシステムです。
一見、残業しなくても残業がもらえてしまうという、非常に好条件な記載内容にも思えますが、実際はその逆です。世間一般の給与相場と比較したとき、その会社のみなし残業代を含む給与額が突出して良い、ということであればそれでもいいのですが、多くの場合はみなし残業代を引いた純粋な基本給が相場よりもかなり低いことが多く、事実正社員雇用であっても、国の定める最低賃金ギリギリの金額で給与が設定されているということも少なくありません。
ただ、それでもまだ、日々の業務を定時内で終わらせることができ、残業なく帰れていれば良いのですが、実際にはみなし残業代を支払っているのだから、その時間分はしっかり働いてもらうと、残業を半ば強制する企業も、残念ながら多く存在しているのです。これでは、せっかく転職したとしても、良い会社に入れたとは言い難いですよね。
そして後者の休日休暇について注意したいのが、「週休二日制」と「完全週休二日制」の違いです。実はこのどちらも、毎週土曜日と日曜日が必ずお休み、という意味ではありません。週休二日制の定義は、1カ月の間に2日休みの週が少なくとも一度あり、それ以外の週は1日以上休みがあることと定義されています。つまり、月の休日は最低で5日程度しかない可能性があるのです。
また完全週休二日制の方も、付随して曜日の表記がなければ、土日休みではない可能性を考えねばなりません。こちらは、間を通じて毎週2日間休みがあるという定義のもと使用されている言葉なので、たとえ平日に、2日連続した休日でなくとも、週に2日休日を定めておけば良いということになるのです。したがって、カレンダー通りのお休みを希望するのであれば、できるだけ「完全週休二日制(土日祝)」などと掲載している求人原稿に絞って転職活動をする必要があるのです。
こういった諸条件に目を留めることや、求人広告の正しい見方は、残念ながら自分で覚えていくしかありません。載っている内容を鵜呑みにしてはいけないと思うと、なんとも世知辛い話なのですが、こればかりは自衛のためにもしっかりと確認しておくべきでしょう。
さらに、転職先について考えなければならないのは、なにも求人広告の内容だけではありません。実際に面接等でその会社に出向き、社内の環境もそうですが、そこで働いている人が、どんな様子で業務にあたっているかも、注目したい点です。
いきいきとしていて活気のある雰囲気であると思える職場であれば心配ないのですが、何となく覇気がない、働いている人の目がうつろに見えるなどの違和感は、たとえちょっとしたことであってもしっかり覚えておきましょう。というのも、職場の第一印象で得た感覚や勘は、決して無視していいものではないからです。職場で働くその人の姿は、入社後の貴方の姿でもあります。笑顔で楽しく働けているのなら、その会社を選んで正解と言えますが、厳しい転職活動を乗り越えてまで、うつろな目で日々を過ごしたくはありませんよね。面接で会社を訪れる際は、是非社内の雰囲気、そしてそこで働く人の姿も見ておくようにしましょう。
転職活動は誰にとっても決して楽なものではありません。けれど敢えてそれに挑むのは、きっと今の在り方を変えたいという強い気持ちの表れだと思います。その気持ちを決して捨てず、理想の転職先を見つけるためにも、甘い言葉に惑わされぬようご注意ください。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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