"人生設計"は"なりたい自分"への近道?

人生設計とは、職業や結婚観に生きがいなど、様々な個人の充足感を主観としたプランのことを指します。若いうちからしっかりとした人生設計をしていて、あとはそこに向かうだけ!ということであれば良いのですが、やりたいことも見つからない、自分が何をしてどう生きるべきかもわからない、という方も多いですよね。安心してください、人間誰しも未来のことは分かりませんし、どう生きることが正解かもなかなか見えないものです。

しかし毎日をただ何となく過ごしてしまうというのも勿体ないですよね。時間は過ぎてしまうとあっという間で、誰にとっても取り戻すことのできない貴重なものです。であれば、やはり有効活用したくなるのもまた“人間”でしょう。

私が職場で知り合ったIさんは、実に真面目でしっかりとした人生設計をしている人でした。私の働く人材派遣会社に中途採用で入社したIさんは、元々人材系の仕事に興味があったそうなのですが、その職歴は実に盛りだくさんな内容でした。

販売員やコールセンターといった接客関連業から経理や人事などの事務、そして建設現場の作業員など、たった10年ほどなのにありとあらゆる職場での経験を積んでいました。もちろんひとつの職場に留まる期間は短く、最長でも1年ほどで次の職場へと転職を決めていたそうです。

私はIさんの一次面接を担当するとともに書類選考時にも履歴書や職務経歴書を拝見していたのですが、こんなにも多種多様な職歴を持つ人は今まで見たことがありませんでした。こうなると、どうしても本人に直接確かめたくなってしまい、面接の際Iさんに、なぜこんなにも様々な職場を転々としたのかと質問しました。するとIさんから返ってきた答えは、すべては人材系の仕事に就くための下準備だった、という一言でした。

Iさんは、実に正確に人材系の会社を取り巻く現状を把握していました。どこも営業職が不足気味で、待遇面で高望みさえしなければ働き口はあるだろうと考えていたそうです。確かにその通りで、だからこそ私の職場でも営業職の募集広告を出していました。

そういった現状を理解した上で、どうせ人材系の営業職を目指すなら、主だった派遣先となる業界の現場を自ら経験しておき、派遣元の人間としても、派遣先の現場を知る者としても行動できるようにしておきたかったそうなのです。

これには私も驚きを隠せませんでした。というのも、営業職に応募してくる方の大半は現場を知るよりも営業としてのテクニックやスキルを上げて売上を伸ばすことに注力している傾向にあったからです。

確かに現場のことを知っておけば後々役に立つ場面は多々あると思いますし、担当する派遣社員の方との会話にも共通認識が生まれ、信頼関係を築きやすくなるでしょう。とはいえ派遣会社の営業が実際に現場での業務を体験する機会はほぼありませんし、会社もそれを求めてはいません。だれもそれを、必須項目だとは考えていないのです。

しかしIさんは敢えて現場を知ることから始めようとして行動しました。そしてそれに10年という月日をかけたのです。すべては自分の中にある、人生設計の一部だと、Iさんは語りました。

その後Iさんは当然のごとく一次面接を通過し(私もそうですが、一緒に面接を担当した営業職の先輩も是非仲間にしたいと話していました)、難なく最終の社長面接もクリアして、今では営業部長の肩書を付けるまでになりました。

部下の指導やマネジメント業務も行う傍らで、未だに多くの担当スタッフを抱えて日々奔走する姿を見ていると、事務職の私には到底真似できないなと圧倒されてしまいます。やる気や向上心の強さもあると思いますが、きっとこれがIさんの考える人生設計の、まさにピークなのでしょう。そのピークが末永く続くよう、事務方からもサポートできればと思っています。

今まで様々な人と、仕事や採用面接を通して出会ってきましたが、Iさんほど先を見据えて、自身の人生設計に忠実に生きようとしている人はいませんでした。確かに、Iさんにも短所はあって、人より少しだけ頑固かなと私は感じています。しかしその頑固なところがなければ、これほどまでに自分の中にある人生設計に沿って生きることなどできなかったでしょう。よく短所は長所の裏返しと言いますが、まさにその通りだと思いました。

冒頭にも書いた通り、人それぞれに人生設計の内容は違いますし、その内容を決める時期も様々でしょう。しかしIさんのように早めに、そして密度も内容も濃くイメージできていれば、人から見たら少々無謀では、と思えるようなことでも、粗方はプラスに変えられてしまうかもしれません。

年齢など様々な事情で転職やこの先の人生について悩む人も多いかと思いますが、自分の将来を切り開けるのは自分だけです。つまづいてしまったそのときは、“人生設計”という観点から今までのことを振り返り、そして未来のことを考えてみてもいいかもしれませんね。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

投稿者プロフィール

コトツムギ広報

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